カリスマ園長・まあせんせいに聞きました「こんな人は保育士に向いている!」

保育の仕事を応援するイベント「保育のおしごと応援フェスタ2018 in TOKYO」。
2018年1月21日(日)の開催に先駆けて発信するスペシャルインタビュー第2弾は、カリスマ園長・菊地政隆さん(通称:まあせんせい)です。都内に15の保育園を持つ社会福祉法人 東京児童協会の理事を経て、埼玉県越谷市の幼稚園の理事長、園長に就任したまあせんせいに、「保育士に向いている人」を語ってもらいました!

菊地政隆さん(通称:まあせんせい)

複数の保育園にて保育士を9年経験し、実家である東京都内の社会福祉法人の理事職のかたわら多くの保育園を開園させ、園長を10年勤めたカリスマ園長。2017年4月より埼玉県越谷市の幼稚園の理事長・園長に就任し、保育の分野から幼児教育まで見識の幅を広げている。まあせんせいの愛称で親しまれ、TBS『情熱大陸』など多数のメディアに出演。現在は静岡第一テレビ「げんきっず!!」で歌のおにいさんとして8年間レギュラー出演している。保育教材の製作も行っており、CD+DVD『まあせんせいとあそぼう!!』が、厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に認定された。

「腰をいためない人」は保育士に向いている!?

――今、保育士の資格を取得しながら最終的に別の業界を選ぶ学生さんや、一度保育士として働きながら、辞めてしまう保育士さんが多いそうです。一度は志したのに辞めてしまうのは「自分は保育士に向いていないのでは?」という、ぼんやりした不安があるんだと思われます。まあせんせいは、20年近くも保育士・園長として保育の現場に携わり、数え切れないほど多くの保育士さんを見てきていらっしゃいますが、ズバリ聞きます! どんな人が保育士に向いていると思いますか?

基本的に「保育士に向いていない人」というのはいないと僕は思っていますが、ナチュラルに「向いている人」はやっぱりいますね。
これから、保育の現場で僕が感じた「向いている人」の項目を挙げさせてもらいますが、これらに当てはまる人は「最初から力を発揮できる人」であって、当てはまらない人でも、決して焦る必要はありません。保育士にとって大事なことは、これから習得できることばかりです。それを踏まえて聞いていただければと。

1つ目は「明るい人」ですね。これは基本。保育の現場では、明るい雰囲気を醸し出すって本当に大事です。子どもって、やっぱり明るい先生が大好きなんです。太陽のように明るい人は、子どもが近づきやすい傾向にありますね。

2つ目は「元気な人」。ここでいう「元気」って何かというと、例えば「風邪を引かない人」(笑)。保育士は健康第一です。よく食べて、よく寝ること。子どもたちにとって、先生は大切な存在です。先生が風邪をひいてお休みすると、子どもたちが悲しみますから。

3つ目は「ポジティブな思考を持つ人」。自らの殻に閉じこもることでネガティブ思考に陥らず、ストレスを溜めないことです。前向きな気持ちというのは体を健康にし、健康な体は、自然と雰囲気を明るくします。だから、1つ目~3つ目は連動していますね。

4つ目は「腰をいためない人」(笑)。腰をいためない人というのは、実は、イコール“自分に気を使える人”のことなんです。自分に気を使える人は、子どもを抱っこする際、立ったまま抱き上げるのではなく、自分から腰をすっと落としてから抱っこします。子どもは小さくて可愛いですが、意外と重い(笑)。そんな子どもを、1日に何度も立ったまま抱き上げようとすると、すぐに腰をいためてしまいます。自分に気を使える人ならば、「長く保育をするためには、子どもを抱っこする際に腰を落とすべきだ」ということに、必ず気づきます。「腰をいためない人」イコール「自分に気を使える人」である……というのは、こういうことなんですね。
また「腰を落として抱っこする」ということにはもう一つ意味があって、これって、“子どもを大切にする”ということでもあるんです。同じ目線で抱っこしてあげると、立ったまま抱き上げられるよりも子どもは安心します。これがナチュラルにできる人は向いていると思います。子どもだけでなく、他人への「気遣い」ができる人でもあると思います。

ということで、5つ目は「気遣いができる人」。保育はチームワークが肝で、ほかのクラスの保育士さんとの連携がとても大切です。そういう意味で、気遣いができる人とできない人というのは、保育の現場で働く上で大きな差になってくるんです。

そして6つ目は「経験が豊富な人」。ここでいう「経験」って、必ずしも保育経験のことではなく、もっと大きな意味での「経験」のことです。例えば他業界で仕事をしてきた人の経験って、保育の現場でも必ず生きます。他業種の人もどんどん保育業界に入ってきてほしいですね。
もちろん「子育て経験」もすごく大事! 「子育て経験」のある人というのは、例えば子育てが一段落したママさんのことです。子供を育てることって生半可な経験じゃない。いわゆる「保育」の仕事と全く同じか……といえば決してそうではないんですが、シンクロする部分は当然多いです。子供が意味不明に泣いているときでも、子育て経験がある人は、お母さん目線で声掛けをすることができるし、ミルクを飲ませるコツが最初からわかっているとか、やっぱり、この経験があるのとないとでは大きく違います。そういう部分で、子育てが一段落したママさんも、その貴重な育児経験を活かしてほしいですね。

最後に7つ目。「情がある人」。子どもたちと一緒になって笑い、一緒になって泣く。保育はたしかに“仕事”ですが、同時に、こうした泣き笑いが伴うのが保育です。だって、昨日喋れなかった子が今日喋るんですよ? 毎日が感動です。小さなことにも感動できる感受性豊かな人にとって、保育士はうってつけの職業です。

……とまあ、好き勝手に項目を挙げさせてもらいましたが(笑)、どうでしょう? 全部でなくても、いくつか当てはまる人って結構いるんじゃないですか?

最初に言いましたが、基本的に「保育士に向いていない人」っていないと思うんです。
例えば、「自分に合わない」と思い込んでしまうことはあっても、それは保育園が合わなかっただけ。だったら、入る前にたくさんの保育園を見てもらって、自分の感覚に合った園を見つけることがベストです。そういう意味で、1月21日(日)に開催される「保育のおしごと応援フェスタ2018 in TOKYO」は、保育士を目指す学生さんや、現場復帰を考える潜在保育士さんにとって、この上ないチャンスだと思っています。

このイベントはラーメン好きにとってのラーメンフェスタみたいなものです(笑)。
ラーメンフェスタに豚骨、味噌、醤油と、日本全国津々浦々の味自慢のラーメン店が集結しているように、このイベントには、コンセプトに自信のある保育園が、東京中からたくさん集まってくれています。自分に合った保育園を見つけるためには感覚が大事です。そのためには実際に「食べてみること」(笑)。たくさんのラーメン(=保育園)を食べ比べて、自分に合った美味しいラーメンを見つけてもらえるといいですね。

成功も失敗も、どちらも同じ“成長”です。
そして、保育士さんを育てることは、子どもを育てることと同じくらい大事なんです。

――ラーメンですか(笑)。まあせんせいのご実家の保育園も東京都に15園運営なさっていますが、もちろん“味自慢”ですよね?

もちろん!(笑)うち(ご実家の保育園※現在は退任)は、すべての園に共通して「自由の中の規律」「おおきなおうち」というテーマでやっています。園舎なんかも個性的なものばかりで同じつくりの保育園はないんですよ。

墨田区の保育園の園舎には葛飾北斎の作品を飾って美術館風(笑)、足立区の保育園は木目を中心としたインテリアで、街の中でも自然と共存できるような柔らかな雰囲気。 とにかくこれまで、実家の保育園は、地域に根ざすための園のコンセプトをとても大切にしてきました。そういう意味で、そのコンセプトをわかりやすく示すのが園舎だと思うんです。

これから少子化が本格化していく中で、これからの保育園は“選ばれなければいけない”と思うんです。どんどん新しい保育園が開園している中で、保護者が「ここで子どもが育ってほしい」という気持ちになっていただくことは大切。現状は、保育園選びって、「近い」とか「立地」など、「いかに通いやすいか」がメインですよね。これから、それが覆る時代が必ず来る。立地ではなく、「保育内容」で選ばれる時代が来ます。

もちろん、「働く側からも選ばれる保育園」というコンセプトも大切。僕は大学で講師をすることもあるんですが、学生にもよく「保育園をたくさん見なさい」と言っているんですよ。自分に合う保育園をとことん探して、選んでくれた人には“愛園心”が生まれるんです。やっぱり、働くことというのは、辛いことも多いものです。それで挫折してしまう人も少なくありません。でも「ここで働きたい」という愛園心を持って来てくれた人は、その辛いことを軽々と超えるんです。

――なるほど。まあせんせいは園長として多くの保育士さんを育ててきたと思いますが、そんな保育士さんたちに対して、どんな指導を大切にしてきましたか?

「50%以上、否定的な言葉を使わないようにする」ということは、よく言っていますね。
走っている子どもにも「走っちゃだめ」というのは簡単です。でも、こうした否定的な言葉が50%を超えると、怖い先生になってしまいます。するとどうなるか。
子どもは「怒られるのが“怖い”から、走らないでおこう」という思考になってしまうんですね。
だから「走っちゃだめ!」ではなく、例えば「ゆっくり走ろうね!」という声がけをし、止まれたら「止まれたね! すごいね!」と褒めてあげる。こうした「ポジティブな声掛け」を、できる限り心がけていこう、というようにしたら、現場がガラッと変わりましたね。保育の現場では、言葉って特に大事です。その場の“空気”を作るんですから。

それから、保育士さんには「やりたいことをやってみなさい」と言っていました。失敗してもいい、でも失敗したら次に失敗しないことを考えなさい、と。

子どもたちはどんどん成長していきます。ならば、それに負けないように、保育士さんもいかに早く育てるかと考えることが園長の責務だと思うんです。「思ったことをやらせてみる」というのは、とても有効です。やりたいことをやらせてみて、成功すれば達成感を得て自信につながります。万が一失敗しても、次に失敗しない方法を考える。成功も失敗も、どちらも同じ“成長”です。そして、保育士さんを育てることは、子どもを育てることと同じくらい大事なんです。

「子ども嫌い」が保育の魅力を発信する立場に

保育園は完全に“女・子どもの世界”でしたから、
年頃の男の子としては、「実家が保育園」という現実は、正直辛いものがありましたよ。

――まあせんせいが、保育士を目指した経緯は何ですか?

実は僕、小さい頃は子どもが嫌いだったんですよ。
実家が保育園を営んでおりまして、小学生の頃から子どもがすごく身近だったんですよね。1階と2階が保育園で、3階が自宅だったもので、家の鍵ではなく保育園の鍵を持って生活していました。
それでも、二十歳になるまでは保育士になるつもりは全くありませんでしたね。僕が子どもの頃、保育園というのは完全に“女・子どもの世界”でしたから、年頃の男の子としては、「実家が保育園」という現実は、正直辛いものがありましたよ。実際、小学校6年生の頃、そのことで友だちにイジられていましたし。そんなわけで、家にもなかなか帰らない小学生でした。なぜなら、早く家に帰ると親に「延長保育を手伝いなさい」と言われるから(笑)。

保育の魅力にようやく目覚めたのは大学生の頃。当時、実家がアルバイトを雇っていたので、親から「バイトとして手伝ってほしい」と誘われたのがきっかけです。保育の手伝いは小学生の頃からしていましたが、本格的に保育の仕事に触れてみて、その頃の実家の保育園は、僕が知っている頃と、ずいぶん変わっていることに気づいたんです。僕が保育の世界から遠ざかっている間に、実家の保育園が「無認可保育園」から「認可保育園」になっていたんですよね。
無認可保育園の頃は、「子どもを安全安心に預かる」というのが使命だったんですが、認可保育園は、それプラス「子どもの成長を見守りながら、その子がどうなって欲しいかという願いを込めて保育を提供すること」ができるようになっていたんです。まったくイメージが変わっていましたね。この時に保育の魅力に気づいたんです。

その頃僕は大学生で、教職課程に入っていたんですが、保育の資格を取るために、大学2年で保育課程のある学科に編入しました。その時に、柏女霊峰先生(かしわめ れいほう/淑徳大学教授。日本の保育指針の制定に携わっていた教育心理学・児童福祉学者)のゼミに入ることができて、ますます保育の魅力に取り憑かれていくことになります。

――大学を卒業してからすぐ保育士になったんですね。

そうですね。大学を卒業して、一度は実家ではない別の保育園に就職しました。でもね、1年ほどで辞めてしまったんですよ(笑)。その保育園は、当時は当たり前だった“大人主導型”の保育を実践している典型的な園だったんですよね。「何時まではこれ、その次はこれをする時間…」という具合に、保育をする側の“大人”が、“子ども主導”ではなく、“作業”的に子どもたちを管理する保育です。当時は僕もそれほど疑問に思わずに、それに染まっていました。楽しくなくなっていたんでしょうね。

その保育園を辞めてから実家の保育園に戻るまでの間に、担任していた子どものお母さんとバッタリ道で出会い、その方がこう言ってくれたんです。「うちの子は、先生と遊ぶのをすごく楽しみにしていたんですよ」と。その方は早くに旦那さんを亡くされていたシングルマザーでした。だから、その子にとって見れば、僕はお父さんだったんですよね。ハッとさせられましたね。保育は“作業”なんかじゃなかったんだと。

これをきっかけに、「保育って何だろう」と、より深く考えるようになりました。実家の保育園に戻って、「保育をもっと楽しみたい」「楽しむべきだ」と考えるようになって、仲間の男性保育士と一緒に親子コンサートを開いたり自主で遊び歌CDを作ったりしているうちに、テレビ番組の取材を多数受けて、人生が大きく変わりましたね。

――どんなことが変わりました?

取材や講演会の依頼が来るようになって、発信できる立場になったのは特に大きな変化でしたね。今では珍しくはありませんが、当時、男性保育士は全国でも1000人いない時代でした。数少ない男性保育士として、男性保育士が“キワモノ”として扱われている状況はどうにかならないものかと強く思っていたところだったんです。
保育というのはチームワークが必要な仕事です。保育士同士で連携を取って、子どもたちの育ちを話し合って、かつ保育の楽しさを共有していくものです。それなのに、当時は、共有する同僚保育士も、相談する先輩保育士もなかなかいませんでしたし、園側も男性の僕を持て余しているようでした。でも、それは当然だと思うんです。だって、男性保育士の前例がいなかったんですから。だから、モデルケースになりたかったんですよ。そういう意味で、男性でも普通に保育ができるんだ、ということを、世の中に発信できるようになったのは、本当にありがたかったですね。これからも、男性保育士のモデルとして、どんどん発信していこうと考えています。

子どもたちの楽しい思い出をいかに積み上げていくか――もしかしたら、
これが保育園の一番の役割なのかもしれないと感じています。

――最後に、保育士として子どもに与えられる最高の幸せってなんですか?

たくさんの楽しい思い出を作って卒園させてあげることですね。
僕が18年間勤めてきた実家の保育園では、「二十歳になった会」というイベントを定期的に開催しているんですね。その中の1人に、地方からわざわざ来た子がいて、僕と過ごした時間のいろんな楽しい思い出を僕に語ってくれたんですよ。あんなに小さくても覚えていてくれたんだな……と感慨深かったですね。保育士として、最高の幸せのひとときです。

そして別れ際、その子がこちらを振り返って手を降ってくれた、その仕草を見て涙が止まらなくなりました。手の振り方、表情が、6歳の頃と全く同じだったんですよ……。十数年前、毎日見ていたその仕草が一気に蘇ってきて、止めどなく涙が溢れました。
涙を流しながら、「この子は何故ここに来てくれたんだろう」と考えたんです。多分、彼は“自分のいた場所”を、大人になったその眼で確認したかったんだろうなと。
その子は、卒園してから様々な大変なことがあったという話もしていましたし、東京から地方の見知らぬ土地での暮らしを余儀なくされたり、辛いことがたくさんあったんだと思います。だから、小さな頃、自分の楽しい思い出が残るこの場所で、その記憶を蘇らせたかった。
そう思うと、保育園って、すごく大事な役割があるんだな……と感じました。
「子どもたちの楽しい思い出をいかに積み上げていくか」。――もしかしたら、これが保育園の一番の役割なのかもしれないと感じています。

保育士の魅力、保育士の最高の幸せを存分に語ってくれたまあせんせい。1月21日(日)のイベント当日は14:00からステージに登場し、保育現場を楽しくするお話や、大人も子どもも笑顔になる歌や手遊びなどを披露してくれます。
笑いあり・涙あり。男性保育士の先駆者であり続けながらも、親子コンサートの開催や、遊び歌のCD・DVD製作も精力的に活動する「歌のお兄さん」まあせんせいと一緒に、楽しい時間を過ごしましょう!

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